あすなろコラム

~かけがえのないこと~ 2024.02.01

失われた時 はじめて気づく 当たり前のありがたさ

 

元日に起こった能登半島地震で被災された多くの方々、突然奪われてしまった多くの尊い命。そして今もなお、余談ならぬ状況下で不自由な避難生活を強いられている方々が多くいらっしゃることを耳目にする度に暗澹たる思いがこみ上げてきます。

 

誰しもが感じるはずの新年の喜びに浸る間もなく誰しもが予想だにしなかった大震災。そして一昨年まで長く続いたコロナの禍中おいても同様に私がつくづく感じたことがあります。それは、当たり前のように過ごす日々―何の変哲もない毎日―ありきたりで平凡な毎日―それこそが、我々にとっていちばん大切で掛け替えのないことである。つまり何をおいても失いたくない―奪われたくないものは、何か特別な日ではなく、ルーティーンのように繰り返される判で付いたような何気ない日常の日々だということです。

 

仏教の教えのひとつに「諸行無常」という言葉があります。「平家物語」の冒頭にも次のように引用されているので、高校の授業で習った記憶がある方もいらっしゃると思います。

 

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり

 

祇園精舎の鐘の音には,この世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがある。という意味ですが、この「諸行無常」の字が示す通り、この世にあるものはすべて変化しとどまることがない―つまり常であることはない―だから無常である。洒落ではありませんが「無常」であることがある意味「無情」なのが世の中なのかも知れません。

 

ならばせめて、朝起きて夜寝るまでの間の様々な生活の場面を「最近変化がなくて全然つまんないわ~」と嘆くのではなく「毎日変わらないことが何よりもありがたくて掛け替えのない」と思えるように、今そこにある暮らしに感謝する心を持ちたいものです。

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~新年の思い~ 2024.01.10

何となく 今年はよい事 あるごとし 元日の朝 晴れて風無し

                              石川啄木

新年あけましておめでとうございます。これから始まる一年最初の朝に晴れ渡った青い空を眺めながら、清々しい空気を思いっきり吸い込むと、何となく今年はよい年になりそうな予感がする。そんな気持ちを詠ったこの句が私は大好きで、毎年元旦に思い出しては「何事も大難は小難に、小難は無難に過ごせますように。そしてほんのちっぽけな幸せでいい。それをひとつでも多く感じることができる一年になりますように―」と願うばかりです。

 

しかし、春夏秋冬の一年を過ごす間には、いいことばかりではなく、冷たい雨や逆風に晒される日もあるでしょう。そんな時にはどうすればいいか?私なりの答えは二つあります。

 

ひとつ目は「食」です。美味しい物や自分の好きな物、普段はあまり口にできない高級な物でもいいし、ケーキやお菓子類でも構いません。逆境の中でも必死に頑張っている自分自身にご褒美をあげましょう。あえて言いますが、この際、体重を気にするのはやめましょう。ダイエットのことなどはきれいさっぱり忘れて、とにかく自分の大好きな食べ物をぱくぱく口に運んでみてください。

 

そうすれば「あら?!まあ~不思議!!」さっきまで重たく沈んでいた気持ちが徐々に軽くなってくるのがわかります。ぺちゃんこになった心が少しずつ膨らんでいくのがわかります。そこで二つ目の「笑」です。自分の好きなお笑い番組やコメディ映画を観て腹の底から笑いましょう。面白いから笑うのか?笑うから面白いのか?どちらにしても「笑う門には福来る」なので自然に笑える環境に身を置くことが大事です。ちなみに私のお勧めは吉本新喜劇です(笑)。あと、かわいい小動物に触れたり眺めたりするのもいいでしょう。きっとあなたの心を癒してくれ、いつの間にかニッコリと微笑んでいる自分に気づくことができます。

 

如何でしょうか。「食」と「笑」は偉大なり!このふたつは人を元気にする源です。いっぱい食べていっぱい笑って、今年が皆様方にとってすばらしい一年になりますように―。

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~時の流れに身を任せ~ 2023.12.18

川の流れは よどむことなく うたかたの時 押し流してゆく

昨日は昨日 明日は明日 再び戻る今日はない

 

あんなに暑かった夏は、まるで存在さえしなかったようにすっかり鳴りを潜めて、今では目に映るものや肌で感じるものすべてが冬以外の何ものでもないという師走を迎えたある夜、ふたりのおっさんが屋台でしんみりとお酒を飲んでおりました。

 

A「うーっさむ‥」「今夜はごっつう寒いで‥」

 

B「ほんま‥かなわんわ」

「ちょっと前までは“暑い暑い”言うとったのに」

 

A「そやな、今では二言目には“寒い寒い”って、ついつい言うてまうなあ‥」

 

B「ほんまやで。わてはもう“あつい”って言うこと‥ないと思うわ‥。って、

熱っ!熱っ!あつーっ!なんや!このおでん‥熱すぎやでえーっ!」

 

A「言うとるやん‥“あつい”って。ほんま、せっかちなやっちゃ‥」

 

せっかちだろうが、のんきだろうが、時というのはいつも変わることなく、たとえ「いったいいつまで続くの?」と感じていた時間さえも、確実に流れて行く。だからこそ今日一日を有意義に過ごすということも大切ですが、人生にはそれが出来ない日も必ずあります。つまり好調な時もあればスランプの時だってある。しかし、どんな時間さえも止まることなく未来へ流れて行くのなら、辛いことや悲しいことがあっても、あたふたせずに、たまには時の流れに身を任せてみてもいいのかも知れません。師走の夜、冷たい風に吹かれながら、過ぎ去りし酷暑の夏に思いをはせて、ふとそんなことを思いました。

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~決してあきらめないで~ 2023.12.01

以前、小欄にてお伝えした南米のアンデス地方に古くから伝わる「ハチドリのひとしずく」という話を今回あらためて皆様にご紹介したいと思います。

 

ある時、アマゾンの森で木々がメラメラと燃える火事が起きました。体が大きくて強い動物たちは慌てふためいて我先にと逃げまわっていましたが、クリキンディと呼ばれる小さなハチドリだけがそこに残り、必死でくちばしに一滴ずつ水を含んでは、燃え盛る森の木々に落としていきます。そんな必死の消火活動を繰り返すクリキンディを見て、他の動物たちは嘲るように笑いました。「そんなことをして森の火が消せるとでも思っているのか?」

 

するとクリキンディはこう答えるのです。「私は私にできることをしているだけ」

 

自分の身の回りのみならず世界中では、さまざまな問題がまさに森の大火のように燃えひろがっています。その炎の勢いがあまりにも強すぎて、我々はつい「自分の力ではどうにもならない」とあきらめたり「自分には関係ない」と見過ごしてしまうこともあるでしょう。

 

しかし、この小さなハチドリが黙々と水を運ぶ姿は、立ちはだかる大きな壁に直面した時に感じる無力感や脱力感に対して、どんな結果になろうとも「当たって砕けろ!」という勇気を与えてくれます。

 

また、ある有名な作家が遺した言葉に「たとえ世界の終末が明日であろうとも、わたしは今日、リンゴの木を植える」というのがあります。これは人というのは「どんなに絶望的な状況になったとしても決して人生を投げ出すようなことはせずに、せっせと明日へと繋がる希望の種を植え続けるべきである」と諭した言葉なのです。

 

この話に感化された某先生「私はたとえ明日が雨でも、やると決めたら絶対にやり遂げます」「ほう、いったい何を?」「洗車です!」「そ、そう‥。(それはちょい話が別ちゃうかな‥?)」

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~涙の力~ 2023.11.01

悲しみの涙を流している人を見た時、もらい泣きするのは悲しみの底の深さを知っているから。そして、その悲しみを奇跡的に乗り越えて歓喜のあまり流す涙を見た時に、再びもらい泣きするのは、悲しみの底で希望の光に巡り会えた喜びに心が震え感動するから。

 

むかし、こんな歌詞の歌がありました。「人は悲しみが多いほど 人にやさしくできる」

そのわけは以下の通りと私は解釈しています。

 

「人は涙をたくさん流すことで 心が洗われ 瞳が澄んでくる

だから 悲しんでいる人の傷ついた心が 痛いほど よく見えるのだ

そして その澄んだ瞳は いつの日か

悲しみの底で わずかに灯る 希望の光を 見つける力になるだろう」

 

― 私は幼かった頃、よく泣いた

悲しかったり 悔しかったり 寂しかったり

その度に めそめそ泣いた 父はそんな私を見て

よく叱ったものだ 「泣くんじゃない 男は泣いちゃダメだ」

 

でも・・母はちがった  泣いている私の頭を やさしくなでながら

 

「思いっきり泣きなさい 涙は心を ピカピカにしてくれるから

おめめと心が スッキリきれいになるまで いっぱい いっぱい 泣きなさい」

そう言って 私と一緒に 母も泣いてくれた ―

 

悲しみや喜びで心震える時に流す涙が、心を豊かにして感性を磨いてくれるとするならば、涙の力ほど偉大なものはありません。赤ちゃんから幼児期の子供がよく泣くのは、きっと「涙が心を育ててくれているのだ」と思えれば、泣いている子供への見方、接し方も変わってくるのかも知れませんね。

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