あすなろコラム

~ホタルの光~ 2020.07.01

緊急事態宣言の解除からおよそ1ヶ月余りが過ぎ、季節が梅雨から初夏へ移り変わる7月を迎えました。新型コロナがなければ、今頃は、オリンピックの話題で世界や日本のあちらこちらで盛り上がっていたことでしょう。そのことを思えば、とても残念でなりません。

 

しかし、すべてが終わったわけではなく、人々の努力で少しずつ少しずつ今まで当たり前だった日々の生活が戻りつつあるのも事実です。

 

園生活においても、衛生面に最大の注意を払いながら、さまざまな活動を徐々に再開する中、子供達の屈託のない笑い声が戻ってきたような気がします。そして、今、個人的に思うことは、やはり一日も早くマスクをしないで保育が出来れば‥。ということです。

 

なぜなら、人と人とが接する中において、言葉はなくても表情で相手に思いが伝わることがあるように、子供にとって保育者の優しい表情は、時に言葉以上の力を発揮し、子供が安心して心の扉を開いてくれる表現のひとつです。

 

それほど大切な保育者の表情をマスクが覆い隠してしまい、何となくもどかしさを感じてしまいます。ましてやこれからの季節は、暑さと息苦しさで、マスクをしたままの保育はかなり苦痛を伴うのですが、これも園における新しい生活様式として受け入れなければならないことなのでしょう。

 

そんな中、先日、ホタルの特集をした雑誌を読む機会があり、夜の川面に舞う無数のホタルの光に癒され元気をもらいました。もし、人の心にも闇を照らす光を灯すことが出来れば、言われなき偏見や差別もきっとなくなる。ひょっとしたら人はマスクをすることで優しい光まで閉ざしてしまうのではないのか。そんなことをホタルが語っているような気がしました。

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~これからできること&これからやるべきこと~ 2020.06.01

空や海は青く、木々の緑は陽光を浴びてキラキラと輝き、鳥たちのさえずりはこんなにも軽やかで楽しそうなのに、人々の心は、未だ解放されることなく深い閉塞感に苛まれたままの虚しい時が過ぎていきました。

 

そして暦は6月。ここにきてようやく今まで失われていた日常が私たちの元へ戻ってくるような兆しが見え始めてきました。まだまだ予断を許さない状況であることには変わりありませんが、各自治体での学校生活が始まったことは何よりもうれしいことです。

 

そして今、私たち保育者に出来ること、やるべきことは、今日からの一日一日を大切にして、子供達の園生活における成長をしっかりと保証することです。失われた時間の中で、中止または縮小せざるを得なかった行事もありました。また、これから予定されている諸行事についても感染防止対策のために、普段とは違う形で行わなければならないこともあるでしょう。

 

しかしながら、そのような状況のなかでも子供達の安全を第一に考えながらも出来ることは精一杯、積極的に取り組んでいく所存です。コロナ禍の中、大人はもちろんですが、子供達だってじっと我慢してきました。インターハイや甲子園が中止になり青春の1ページを奪われた高校生もたくさんいます。失ったものがあまりにも大きすぎて夢も希望も無くなったと失望している人もいるでしょう。

 

でも、私は思います。人が生きていれば失うものは必ずあります。しかし、もし何かを失っても、そこから得るものも必ずある。大事なことは、転んだら何かをつかんで立ち上がること。そして、人は生きている限り明日への希望だけは失ってはならないってこと。これからの園生活を明日への希望に満ちた充実したものにすることが私たちの使命です。

 

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~エール~ 2020.05.01

1962年に出版されたレイチェル・カーソンの著書「沈黙の春」は農薬などに含まれる化学物質が生態系に悪影響を及ぼし、鳥たちが鳴かなくなり静まり返った春の自然界の変化を訴え当時の社会に大きな衝撃を与えました。

 

そして今、日本のみならず世界中を混乱の渦に陥れている新型コロナウィルス‥。未だこれといった特効薬も見つからず、人類は出口のない迷路を彷徨い続けている昨今です。満開の桜は、人もまばらな野辺や公園の散歩道に静かに散り、今は陽光に照らされた若葉の翠の輝きにも何となく虚しいほどの静けさを感じてしまいます。

 

まさに「沈黙の春」。緊急事態宣言が発令されて、人々の生活は否応なしに「沈黙」を強いられ、空白の1~2か月を過ごしてきました。当たり前だったことが当たり前ではなくなり

失われた時間は二度と戻って来ません。そして何よりも辛いことは、この底知れぬ不安や悲しみが、いつまで続くのか誰も知らないということです。終わりの始まりなのか、終わりなき始まりなのか‥。

 

しかし、そのような中においても医療現場の最前線はもちろん、あらゆる職種の方々が必死になって働いてくれています。また家庭においては、家族の健康を守るために一生懸命、家事に従事している方もいらっしゃいます。本当に頭が下がる思いです。福岡市においては「フライデーオベーション」という取り組みが行われていますが、私からもさまざまな場所でコロナ対策のために頑張っていらっしゃる方々に感謝と敬意を表してエールを送りたいと思います。

 

そのような方々のためにも、一日も早く子供達みんなが集い、笑顔と歓声があふれる保育が行えるように、只々願うばかりです。我々に出来ることは、その日が来ることを心待ちに健康管理に留意して、準備に惜しみない汗を流すことです。職員一同、今まで当たり前だった日常にあらためて感謝し、当たり前が有難いと思える気持ちを持ち続けて参ります。

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~出会い~ 2020.04.09

 

 

穏やかな日差しを浴びて、新しい生命の息吹が、頬にあたる優しい春風となって吹き、小川のせせらぎは、鳥のさえずりを誘うように、よどむことなく清らかに流れていきます。いつもと変わらぬ五感に伝わる春爛漫のぬくもりや色、匂いや音などが、あちらこちらにあふれている中、新年度を迎えたこの4月は、今まで経験したことのない出来事に遭遇したことにより、いつもとは明らかに違う生活を強いられています。

 

「人生には上り坂、下り坂、そして、まさか!がある」とよく言われますが、まさに昨今の出来事は「まさか!」との出会いに相違ありません。あらゆる自然災害も含めて我々は時に予想もしなかったことと出会うものです。そして、その度に、耐えがたい苦しみや悲しみを経験します。まさに、すべてを失ってしまいそうな喪失感と失望感に苛まれてしまう訳です。

 

しかし、人類は、今までもそうであったように、決して諦めてはいけません。なぜなら、過去からのバトンを引き継いだ我々は、どんな苦境に立たされても、耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、今、手に握っているバトンを未来に繋いでいく使命があるからです。オリンピックの聖火にもそんな思いが込められている気がします。

 

そして、出会いとは、出来事に限らず人との出会いもそうであるように、偶然であれ必然であれ一度出会ってしまえば、避けて通ることの出来ないものです。いつ何時どんな出来事と出会うか誰にもわかりません。大事なことは、どんな出会いであっても、そこから何かを得たり学んだりすることではないでしょうか。「人には乗り越えられない試練はない」暗闇の中だからこそ見える希望の光は必ずある。

 

どんな出会いにせよ、後になって、あの時の出会いがあったからこそ、今の自分があると今を生きることに感謝できる。そんな一年になればと思います。新園児を迎えての新たなスタートです。今年度もよろしくお願いいたします。

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~心根を育てる~ 2020.03.01

今年は暖冬と言われた通り、例年に比べて随分と過ごしやすい冬でしたね。暦の上でも立春は疾うに過ぎ、春はもうすぐそこまで来ていることを日中の日差しのやわらかさや優しい風に揺れる桜のつぼみの膨らみが知らせてくれているようです。先日、ある新春の集いで「今日はぬくかねぇ~」という長老の方の声が聞こえてきましたが「ぬくかぁ~」という博多弁を久々に聞いて、心がじんわりと温かくなりました。

 

さて、今月下旬の桜の開花宣言が待ち遠しい今日この頃ですが、美しい花を咲かせる桜の花は、冬の厳しい寒さに晒されても黙ってじっと耐えてきた枝が、葉もすっかり枯れ落ちて丸裸のまま、つぼみをしっかり守ってきたおかげなのです。私は毎年冬に園庭にある桜の丸裸の枝を眺めては「がんばれ!がんばれ!」と心の声で語りかけています。そうすると、不思議なもので、桜の枝からも「お前もがんばれ!」と逆に励まされているような気持になります。どんなに厳しい環境も黙って受け入れる木と向き合い無言で会話する、そうすることで心が安らぎ穏やかになれる。木にはそんな力もあることに気づきます。

 

しかし、そこでふっと、木には目に見える枝葉だけではなく、目に見えないもっと大切な存在があることに改めて気づくのです。それは根っこです。言うまでもなく根が弱ると木は育ちません。寒さに耐える丸裸の枝も春の陽光浴びて優雅に咲く花も瑞々しい色を放つ新緑もすべては根っこが支えているのです。

 

目には見えない根っこを育てる。木も人も同じです。我々は得てして目に見えるものばかりに心を奪われてしまいがちですが、目に見えるものを支えている、目に見えないものに、目を向けることの方が実は大切だと私は思います。人にも目には見えない「こころ」というものがあります。心の声や思いが言葉や態度となって見えてきます。心根を育てると言葉や態度も育つ。そんな思いでこれからも「心の根っこ」の育ちを大切にする保育を実践していければと思います。

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