あすなろコラム

~奮について~ 2018.06.01

「奮」という字は「発奮する」「奮闘する」「奮い立つ」などの言葉に使用される漢字です。人が何か事に当たる時、冷静沈着な態度はとても大事になります。なぜなら、焦ったり、イライラしたりすれば、気が動転して、事を仕損じる結果につながる可能性が大きいからです。何が起こっても動じない。まさに、泰然自若な態度は、リーダーに求められる大切な資質のひとつと言えるでしょう。

しかし、わたくしは思うのです。思いもよらぬ挫折を感じたり、逆境に立たされたり、苦悩のどん底に落ちた時、「負けるもんか!」という気持ちで、物事に立ち向かっていく勇気も必要だと思います。なぜなら、生きる上での「底力」はそのような思いから湧いてくるような気がするからです。

その昔、「生きる力」という言葉が、しきりに言われた時代がありました。その「生きる力」というのは、冷静の中にあるのではなく、沸々と煮えたぎるような感情、いわゆる情熱や熱意の中にあると私は思います。人は生きていれば、思い通りにならない大きな壁にぶつかることが必ずあります。そんなとき「当たって砕けろ」という気持ちで、自らを奮い立たせることが出来るかどうか。その気持ちこそが「生きる力」につながるのではないでしょうか。

ピンチはチャンス。逆風も振り返れば順風です。「無理」という字を「ムリ」と読まず「チャンス」と読む。押してダメなら引いてみる。あの手がダメならこの手がある。困難にぶつかったとき「奮」という気持ちをもって、事に当たれば、必ず道は開けると私は信じています。
~わたしにできること~ 2018.05.01
南米のアンデス地方に古くから伝わる話に「ハチドリのひとしずく」というのがあります。ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、こんな話です。

ある時、アマゾンの森が大火に包まれ燃えていました。大きくて強い動物たちは慌てふためいて我先にと逃げまわっていましたが、クリキンディと呼ばれる小さなハチドリだけがそこに残り、必死でくちばしに一滴ずつ水を含んでは燃えている森に落としていきます。それを繰り返すクリキンディを見て、他の動物たちは嘲るように笑います。「そんなことをして森の火が消せるとでも思っているのか」するとクリキンディはこう答えるのです。「私は私にできることをしているだけ」

自分の身の回りを含め世界中ではニュースのネタに事欠かないほど、さまざまな問題がまさに森の大火のように燃えひろがっています。あまりにも炎の勢いが強すぎて、我々はつい「自分ひとりの力ではどうにもならない」とあきらめたり「自分には関係ない」見過ごしたりしてしまいます。しかし、ハチドリが「私にできることをしているだけ」と、黙々と水を運ぶ姿は、そんな我々に「大きなことはできないかも知れないけど、まずは私にできることから取り組もう」という勇気を与えてくれます。

「はしめの一歩は小さな一歩」「はじめの明かりは僅かな一灯」「箸よく盤水を回す」
幼稚園でもそれぞれの職員がそれぞれの立場で子ども達のために自分のできることをする。ひとりの力は小さくても、それがやがて大きな力となって、子ども達の大いなる育ちに貢献できることを願っています。
~失敗する~ 2018.04.10

新年度が始まり、いろんなところで希望に満ち溢れた新人達が初々しく輝いています。まさにピカピカの一年生ですね。しかし、今まで経験したことのないことだらけの世界に不安や戸惑いがあるのも事実でしょう。

人は困難に立ち向かう時、失敗したらどうしよう・・・という思いが頭をよぎる事が必ずあります。「失敗したら恥ずかしい…失敗したら迷惑かける…」などと悩んだ経験は誰にでもあるのではないでしょうか。新人さんの不安や戸惑いの原因はここにあります。

しかし、最初から何でもできる人はいません。失敗を重ねながら、できなかった事ができるようになるのは、幼稚園や保育園の子ども達の成長と同じです。大人や経験者だってたくさん失敗します。初めての事はもちろんですが、経験した事でも、時には失敗することがあるのです。大切なのは、失敗しても成功するまで諦めないで何度もチャレンジすることだと思います。

発明王で有名なエジソンは「してはいけないことは、失敗ではなく、失敗を恐れて新しいやり方を試さないことだ」と言ったそうです。そんな中、先日、ある研修会で新人さんのすてきな言葉を見つけました。

「何も分かりませんが、何でもやります」

この言葉には「失敗するかもしれませんが、何でもやらせてください」という前向きな気持が込められています。新人に求められるのは、できるかできないかではなく「何でもやります!」という積極性です。一生懸命取り組めば、結果は失敗でもまわりの人が必ずバックアップしてくれます。もっと言うなら、まわりの人は、あなたが失敗するかどうかの結果だけを見ているのではなく、いかに取り組んでいるか、というプロセスを見ています。何も分からない今だからこそ、たくさん失敗して、そこから多くのことを学んで欲しいものです。
~心に残る言葉~ 2018.03.02
「花に嵐のたとえもあるさ さよならだけが人生だ」

私が大学生の頃、ゼミの先生が別れの挨拶に引用したこの言葉を今でも覚えています。

”どんなに美しく咲いている花だって突然の嵐によって、その全てを奪われることがある。そういうどうにもならない儚さこそが人生における別れで、この現実からは逃れることができない。だから泣くな。そしてただ前を見つめて歩くのだ。”

意味がわからなくても、力のある言葉は人の記憶に残ります。そして、その言葉に意味や解釈が加わった瞬間に、その人の心の支えとなるのです。

うまくいくと信じていたことがダメになった時、友達に裏切られた時、どうして自分だけがこんな目に・・というメソメソした嘆きに決別したい時、この言葉は私を救いました。花に嵐のたとえのように、生きていれば必ずどこかで突然の苦難に見舞われる。それはきっと避けようもなく、人生における別れと同様にあまりに切ない。

しかし、さよならだけが人生なら、幾多のさよならに直面することが、自分の人生を歩んでいる証なのだ。そう自分に言い聞かせて、辛い夜を何度も乗り越えてきたからこそ、今の自分があると思います。

3月は別れの季節です。さまざまな場所でお別れの涙が流されることでしょう。さよならだけが人生なら、二度と戻らない今を、この瞬間を大切に過ごしたい。そして、どんなに辛い別れが訪れようとも、決して忘れないでください。さよならのあとには、新しい出会いが必ず待っていることを。
~感じること~ 2018.02.01
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