~春来る~
窓を開けると、ふんわりとした柔らかい風がレースのカーテンを靡(なび)かせながら、部屋中に春のぬくもりを届けてくれます。目覚めの季節にふさわしい陽光のシャワーを浴びながら両手を大きく伸ばして深呼吸すると、すべてが生まれ変わったような新鮮な気分に包まれる4月は、入園・入学や進級などの新しいスタートにもっともふさわしい時期である。―― と常々私は思います。 ちなみに、欧米の新学期と言えば9月ですから、昨今の日本の気候だと残暑厳しい折で「制服を着たとたんに‥あぢ~っ!」と感じる「汗だくの入園式や進級式」になってしまうことを思えば‥つくづく日本は穏やかな気候の春-4月でよかったと思いますよね。 さて、その春を人生にたとえるなら、やはり乳幼児期から学童期ぐらいになるのでしょうか。新しい生命が誕生し、陽だまりのような愛情にやさしく包まれながらスクスクと成長していく。いろんなものに興味を持ち、あらゆる経験を通して出来なかったことが出来るようになり、知らなかったことを知るようになり、生きる力がどんどんと養われていく。まさに生命の息吹に満ちた春を感じる時期なのです。その姿を想像しただけで幸せな気分になる子供の成長は、何物にも代え難い宝物ですね。今から1200年以上も前の万葉集にもこんな句が残されています。 銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも(山上憶良) (しろがねも くがねもたまも なにせむに まされるたから こにしかめやも) 金・銀・宝石などの高価な物でも、子供という宝物に比べたら何のことがあろうか そして、春が子供なら夏はギンギンギラギラ若者世代、でもって秋から冬は‥以下省略(笑)。なので、毎年春が来ると、子供心に戻るというか、童心に帰るというか、遠足の前日のようなウキウキした気分になる。明日へと続く道を歩けば、あちらこちらに笑顔の花。仮に今日咲かなくても明日にはきっと‥。だから春とは明日につながる今日が楽しみな子供のような季節なのです。 もしも夜寝る前に「明日が楽しみ」と思える日をたくさん迎えられる生き方が出来るとしたなら、これほど幸せなことはありません。この春、新しいスタートを切ったすべての皆様が、一日でも早く、そして一日でも多く、そんなワクワクドキドキするような「今日そして明日」を迎えてくれることを心から願っております。
