あすなろコラム

~良い習慣~ 2025.05.01
木々の新緑が色鮮やかな季節となりました。5月と言えば、何といってもGWですね♡
大阪万博も始まりましたし、各地の行楽スポットは、きっと大賑わいのことでしょう。

そんな中、先日TVニュースで知りましたが、連休などで行楽地を訪れる人の多さ以上に大変な問題があるそうで‥。それはゴミ問題です。キャンプ場や遊園地などのゴミ箱は一日に何度も何度も回収しないと、すぐに満杯になり、もし回収しそこなえば、あふれたゴミが風に飛ばされ、あちらこちらに‥。風に飛ばされ彷徨うゴミならまだしも、なかには誰も見ていないからといって、ポイ捨てをする人のゴミもあるらしいので驚きです。

さて、突然ですが、実はわたくし、仕事の傍らに保護司を20年以上務めており、今までさまざまな対象者を担当してきた経験から、問題を起こしたのちに更生できる人と、そうでない人の違いは、良い習慣が身についているかどうかにあるということに気づきました。

例えば、ポイ捨て問題ですが、それをA悪いと思ってする人と、B悪いと思わないでする人、皆さんはどちらが更生する可能性が高いと思いわれますか?わたしの答えはAです。

つまり、ゴミを拾う・履物をそろえる・椅子を入れる・挨拶や返事など‥身につけるべき良い習慣はたくさんありますが、全部できなくたっていい。10あるとすれば、そのなかで、たったひとつだけでもいい。ポイ捨てはダメと知っている人と知らない人、履物をそろえることが良いことと知っている人とそうでない人の違いは、そのことをきちんと教えてくれる人がいたか、いなかったかなのです。

ある少女を担当した時のことです。髪は銀色、長いまつ毛はまるでベランダの庇、ド派手な模様の爪に、へんてこなサンダルでやってきたその子が、何とサンダルをそろえてぺこりと一礼して上がってきたので、すかさず私はいいました。「すごい!」と。「君の恰好じゃなくて靴をそろえたことがね。誰に教わったの?」その子はその後、立派に更生しくれました。
~ホットスポット~ 2025.04.08
寒波の長いトンネルを抜けて、春の日差しが日本中のあらゆる場所を暖めてくれています。コロナ以降の昨今は、インバウンドもさらに活気を増したようで、観光地によっては日本人より外国の来訪者が多いという話があちこちで聞こえるようになってきました。そういえば、むかし「エキゾチック・ジャパン」という言葉が流行りましたが、きっと海外の方々にとって今の日本は春の陽気も相まって「ホットスポット・ジャパン」なんでしょうね。

それにしても先月、日本で行われたMLBの公式開幕戦で躍動する日本人選手を見ていると、あっぱれというか何というか‥特に大谷選手に関しては規格外すぎなので、ドラマ「ホットスポット」風の展開をマネるとするならば、是非、彼の口から、こうカミングアウトしてほしいものです。「実はボク‥宇宙人なんですよね‥」(笑)

冗談はさておき、新園児さんを迎えて令和7年度の幕がにぎやかにオープンしました。花壇にたとえるなら、にっこり笑っている花はもちろん、露に濡れた花もありますが、一人ひとりちがった色や形で「ぼくを見て!わたしを見て!」と呼びかけているようです。もちろん在園児さんだって昨年より一段と成長した姿がとても凛々しくみえて頼もしい限りです。

「みんなちがって、みんないい」そして「みんな育って、みんないい」そのような思いを共感・共有する感動の物語のはじまりです。主役はもちろん一人ひとりの子供自身。でも、けっしてひとりぼっちではなく「わたしがいて、あなたがいる」という世界観を少しずつ理解しながら、自らの手で世界にひとつだけの物語-そして、読み手である我々に大きな感動を与えてくれる物語を書いてくれることでしょう。

表題の「ホットスポット」をさまざまな人が集うにぎやかな場所と解釈するならば、幼稚園はまさに「ホットスポット」そのものです。さまざまといっても、さすがに宇宙人はいないと思いますが…(笑) 十人十色の個性あふれる子供達と、笑顔あり涙あり感動ありの「ホットスポット」を皆様と共に楽しんでいけたらと思います。
~世界にひとつだけの物語~ 2025.03.01
「川の水は、岸があるから流れるのではない。水の流れがあるから岸ができるのだ」

これは私の尊敬する教育者-東井義雄先生の言葉です。川の水を子供、岸を幼稚園と置き換えるとよくわかります。岸というのは川上から川下へ流れる水に沿ってはじめてできる。つまり、いつでも主役は子供達です。その子供達のために幼稚園はあるのです。決して幼稚園のために子供達がいるのではありません。当たり前のことですが、この原点を見失わないことがとても大切だと思います。

もちろん、基本的な生活習慣やしつけに関しては盤石な川岸に水を流す必要があると思いますが、それ以外に関しては、子供は十人十色であらゆる可能性があるからこそ「あなたはこう流れるべきよ!」と大人が決めつけた岸に流すのではなく、自ら流れたい方向に進めるような環境を整えてあげる。そうすることで幼稚園にはたくさんの川の流れができ、そこにはキラキラと輝く澄んだ水が絶え間なく流れていく。まさに「みんなちがってみんないい」の世界です。また詩人-高村光太郎は「道程」の中でこう言っています。

「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る」

人は誰しも自分だけの物語の作者です。主人公はもちろん自分自身。「私の人生」という水の流れに沿った岸をつくっていく。時には曲がりくねったり、急降下して大きな滝になったり、日照りが続き干上がってしまいそうになっても、それぞれの出来事は物語のオリジナル性を高めたり内容を深めるために欠くことができないエッセンスになるのです。

さながら幼稚園の子供達は卒園する頃までが物語の第一章になるのでしょうね。ですから始まったばかりの物語はまだまだ続きます。そしてその結末は、読者はもちろん、作者自身にもわかりません。それが自分の人生であり「世界でたったひとつだけの物語」となるわけですからね。でも目指すべき結末はもちろんハッピーエンド。たとえほんのちょっとの幸せでもいいから最後が〇で終わる物語にしてほしいと思います。
~1ではなく2~ 2025.02.01
暦は2月、何か新しいことが始まるのが1なら、そこから次の展開が始まるのが2です。1も大事ですが、1の次に2があるかないかが私はとても大事だと思います。そして何より2という数字が日本にとても馴染んでいる気がするのです。なぜなら‥‥ここは二ホン(2本)ですからね(笑)

冗談はさておき、かっこいい男性をイケメンと言いますが、かつては二枚目と言いました。かっこいい存在が一枚目ではなく、なぜ二枚目なのか‥?これを調べてみますと、由来は江戸時代の梨園(歌舞伎界)まで遡ります。当時は歌舞伎に出演する役者を一枚目から八枚目まで分けてその役目を表した。一枚目が主役で二枚目が若くて美男子で色男、そして三枚目が今で言うお笑い担当というわけです。

また1ではなく2ということは、単品ではなくセットになるので、何となくお得感が生まれてきませんか。飲食店で〇〇セットというのは今や定番メニューですよね。私も若いころは単品よりもセットを注文して満腹感を味わったものです。

野球で2番のポジションと言えば、守備の要であるキャッチャーですし、サッカーで2番のポジションは、センターバックと言いゴール前の真ん中の位置で相手ゴールを阻止する大事な役目を担う存在です。つまり2という数字はひとつのものをさらに大きく広げて、それをまとめるという調和や統合の意味があり、たったひとつではない、という安心感や温もりさえ与えてくれる包容力ある存在なのです。

「♪ひとりじゃないって~すてきなことね~♪」昭和のアイドル-天地真理のヒット曲にもあるように、もしあなたに「ひとりぼっちではなく、誰かがそばにいてくれたことが、何よりも心強かった」という経験があるとするならば、それが2の持つ偉大な力ではないかと思います。1が2になることで喜びは2倍、悲しみや憂いは2分の1になる。まだまだ寒い日が続く季節だからこそ、1ではなく2の安心感とほっこりした温もりで寒さをしのいでみてはいかがでしょう。
~はじまりは いつも白~ 2025.01.01
~初ごよみ 知らぬ月日は 美しい~

何か新しいことがはじまる時を色に例えるなら、その色は、きっと白だと私は思います。新年を迎え、お気に入りのカレンダーや手帳をはじめて開いた瞬間、目の前に現れるのは、延々と雪が降る長い夜のトンネルを抜けた朝、あたり一面が真っ白に包まれ、まるで時が止まったかのような静かで美しい景色。絵画に例えるならば、これからはじまる一年の日々がさまざまな色で描かれる前のまっさらなキャンバスとでもいいましょうか。

さて、昔から家庭や会社で一斉に取り組む恒例の年末行事と言えば大掃除ですが、そのルーツと言えば、すす払いだそうです。電気やガスのない時代、家の中はかまどや囲炉裏から出るすすで真っ黒になる。そこでこれらの汚れをきれいに掃(はら)い新年を迎える。これはまさしく新しくはじまる時を白で迎えたいという気持ちの表れなのでしょう。ちなみに「はらう」という言葉は漢字で「祓う」とも書き、掃除で汚れを掃うとは家中の「穢(けが)れを祓う」という厄除けの意味も含まれるそうです。また私が若いころ、ある先生からこんな話を聞いたことがあります。

「トイレや花壇がきれいな学校は 決して荒れることがない」

生徒はもちろん先生も一緒になって黙々とトイレを掃除する。そのような学校で生徒が荒れるはずがありません。また「凡事徹底」で有名なイエローハットの創業者‐鍵山秀三郎氏も自らトイレ掃除を実践し「日本を美しくする会」を通じてトイレ掃除がもつ魔法の力を全国に広めていきました。学校の花壇もしかりです。花は枯れ雑草が伸び放題の花壇は生徒の心をもかき乱し気が付けば手が付けられないほど荒廃した学校になってしまう。

花のような人生を送りたければ花壇の世話を、そして新しいはじまりはいつも純白の心で迎えられるように身の回りの掃除を通じて心を磨ける一年になればと願っています。
あすなろ幼稚園
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